松本鉞生小品展−李白に游ぶ−
松本鉞生


酒仙 李白の詩の宇宙を
酒好 松本鉞生氏が截り啓きました。
ぜひ、ご高覧下さい。

■会期 2003年6月6日(金)〜 12日(木) 会期終了
■時間 AM11時〜PM7時 (会期中無休)
■会場 ギャラリー東洋人

松本鉞生(まつもと えつせい) 日本書学院代表
1945年栃木生まれ。安藤搨石に師事。毎日展会員。
全日本書道連盟正会員

桃李春



桃 李 春

   桃李の春

     草書



晁卿とは阿倍仲麻呂である。彼は霊亀二年、唐の留学生となり、唐土に渡って秀才の誉れ高く、玄宗に仕えて秘書監となったが、天平勝寶中、遣唐使藤原(ふじわらの)清河(せいか)に従って帰国の途についた。然るに海上において颱風に遭い、安南に漂泊して、再び唐に赴き、遂に故国日本を偲びつつ「青海原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にい出し月かも」と詠じて、唐に於て歿したことは史上有名な話である。この誌は、仲麻呂が帰国の船航に就いた後、その舟が風浪のために沈没し、仲麻呂溺死の訛傳が聞こえたとき、李白はこれを悼んで詠じたものである。
日本の晁卿は、今度いよいよ帰国の途につかれた。そこで先づ君は帝都長安を辞し、やがて船に乗って、征帆一片、順風を利して蓬莱(蓬壺)を繞(めぐ)って進まれたのであったが、不幸、海上に風波は荒れて君は海中の藻屑と化してしまわれた。日本の英才をして空しく海中に覆滅せしめた遺憾時は、恰度、かの明月が碧海のうちに沈んで、遂に再び帰り来たらざると同じであって、惜しみても余りあるものがある。たゞ見る海上には、白雲が愁色を帯びて漂い、海中の仙山と云われている蒼梧を蔽うているばかり、満目肅條として我が心を痛しめるのみである。
大槻徹心著 詳解「李太白詩集」より抜粋

哭晁卿衡

日本晁卿辭帝都
征帆一片繞蓬壺
明月不歸沈碧海
白雲愁色滿蒼梧

晁卿衡を哭す

日本の晁卿 帝都を辞し、
征帆一片 蓬壺を繞る。
明月帰らず 碧海に沈み、
白雲愁色 蒼梧に満つ。
哭晁卿衡


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